乳白色の夜

2004年12月24日 ポエム
白い雲の上に 黒い闇を 
重ね着してても 冬の空は 
やっぱり寒い 

街全体が 白い息を吐き出すように 
ぼうっと光る 

黒と白とが織りなす景色は 
とっても魅力的だけど 
やっぱり寒い

黒薔薇図書館

2004年12月19日 ポエム
黒薔薇の刻印の門の向こう 
深緑の茨の絡み合う 漆黒の壁に囲まれた 
古代図書館

響き渡るのは カラスの鳴き声 
舞い上がるのは 黒い花弁 
覆い尽くすのは 灰色の乱層雲 

そのいちばん奥の本棚の向こう 
わたしだけの秘密の部屋に 
散乱した本を踏み越えて 
あなたはやって来た 

どうして来たの? 
今のわたしには ガラスの太陽さえまぶしいのに 

球体上垂直落下

2004年12月16日 ポエム
山際を 飛行機が真っ直ぐに降りてゆく
それはもう まるで墜落してゆくみたいに

心配になってしばらく見ていたけれど
飛行機が真下に落ちていくように見えるのは
地球が丸いからなんだよね
飛行機はただ 空の丸みの上を真っ直ぐ滑るように進んでいただけ

いらない心配をしたもんだ

不条理

2004年12月13日 ポエム
床に落ちた水滴
こみ上がる絶望
わたしは剥き出しの大地に
ただ 嗚咽し
崩れ落ちるだけ

まわりを見渡すがいい
赤と黒との侵蝕は もう
止まらない

ようやく気づいたか
この世界の不完全さに

神に見捨てられた地
それならば
わたしは自分自身に従おう

さようなら
3メートル左を歩いていた
もうひとりのわたしは
トラックに撥ねられて死んだわ

隣の椅子に座っていた
もうひとりのわたしは
○○の頚動脈を切って殺したわ

もうひとりのわたしは
わたしだけのわたし

タナトスに彩られた
わたしだけのわたし
彼女があらわれるのは
決まって僕が風邪を引いたときでした

彼女は天井から
ゆったりとした水色のローブを いっぱいに広げながら
ゆっくりと 鳥のように
僕の隣に舞い降りるのでした

仰向けで寝ている僕の額に
彼女はそっと手を触れると
優しく額にキスをするのでした

そして 彼女は 途方もなく大きな数字を
僕につぶやくのでした

彼女の声は
やっと聞こえるくらいの小さなささやきだけど とっても冷たく 威圧感があって
彼女のささやく 大きな数字は
巨大なイメージとして 僕に容赦なく襲いかかるのでした

そのイメージは 運命のつながりとか 神の意思とか
そういうものを連想させて
幼い僕は 果てしなく続く広がりに
押しつぶされそうになりました

僕が 手に余る大きな広がりと格闘している間に
彼女はいつの間にか いなくなっているのでした

そんなことが何度かあって
でも 僕が大きくなると
彼女はあらわれなくなりました

彼女がどうしてあらわれたのか
彼女が何者なのか
僕にはわかりません

ただ 彼女は僕に 自分の手には負えない大きな何かが存在することを
教えてくれたのです

暗黒星への憧れ

2004年12月5日
銀河の中心にあるという
すべての闇の発生源
暗黒星が見たくて

乱反射の通気口をさえぎり
太陽のしっぽを引き下げる

とたん
生まれたのは
小さいけれど 存在確かな暗黒星

たちまち
暗黒星はあるものすべてを
飲み込んだ

わたしの前に広がるのは
ただ


わたしの体も
暗黒星に飲み込まれたらしい
ただ


周りの風景に同化し 消えてゆく
なんとも心地よい感覚

けれど
さすがの暗黒星も
わたしの精神までは
飲み込めなかったらしい

わたしはわたし
ここにいる

太陽のしっぽを 再び引くと
暗黒星は
たちまちのうち 消えうせた

蒼の奇跡

2004年11月28日 ポエム
昨日の強い風が
昨日の記憶といっしょに
雲をすべて洗い流してしまったのかしら?

一点の曇りもなく
ただ 蒼いだけの空

吸い込まれそうで
でも 拒絶されそうで
ただ 窓から見上げるだけで

こんな綺麗な蒼空に
今度はいつ出会えるのかしら?

今日のこの日が 奇跡のようで
わたしは空から 目を離せずにいた

月を想う

2004年11月27日 ポエム
ベッドに落ちる窓
月の明るさを知った

ベッドに寝転べば
今宵は満月
月の光に目を細めた

月は純粋であるがゆえに
こんなにも輝いているのだと想う

太陽に恋をする月は
彼を体いっぱいに受け止めて…

月の光は純粋そのものだ
水銀灯に照らされて
吐き出された
わたしの吐息
午前零時の闇夜に浮かび
黒く溶けて
消えた

ほんの一瞬
白い霧のダンスを見届けたのは
わたしだけ

セフィラ1999

2004年11月25日 ポエム
この空をキャンパスに例えるのなら
雲が絵具で
その雲を運ぶ風は絵筆かな

空って広いよね

それでいて
空ってこんなに広いのに
見上げるたびに形を変えて
同じ空にはもう二度と会えなくて
とっても自由で
柔らかくて
それが
わたしにはうらやましい
赤い炎を見た

無秩序に交錯する
無数の水平線の中で

無限に続くとさえ思える
無音の闇の中で

無言であるべき魂が
無理にでもこじ開けようとする

「わたしの声を聞いて!」
世界中の悲しみを集めてつくられた海

ポツリと浮かぶ
小さなヨット

深い蒼色をしていて
今にも溶けてしまいそう

悲しみは 蒼く 冷たく 透明で
それでいて とても 綺麗で

蒼く溶けていく ワタシ

今はただ 溶けていく

蒼く 蒼く

Borderize me!

2004年11月7日 ポエム
わたしの指はわたし?
わたしの腕はわたし?
わたしの顔はわたし?
わたしの髪はわたし?
わたしの爪はわたし?
わたしの涙はわたし?
わたしの息はわたし?
わたしの鼓動はわたし?
わたしの足音はわたし?
わたしの足跡はわたし?
わたしの部屋はわたし?
わたしの妄想はわたし?
わたしが見たものはわたし?
あなたの中のわたしはわたし?

どこまでがわたし?
わたしの境界線を引いて!
転回軌跡の天体輝石
きらりと光る それは涙

天界汽笛の倦怠奇癖
もわりと吐き出す それは夜

旋廻エレキの面会詩劇
ぐるりと唸る それは運命

足元注意

2004年10月24日 ポエム
眼前に広がる 無限のパノラマ
自由の象徴 風駆ける大平原
しかしそれは結局 虚像でしかなかったのだ

世界は窮屈であった
私はその窮屈な世界を歩かされている
そう それはまるで
細い細いロープの綱渡り
一歩でも踏み外せば 瞬く間に落下する

虚像の自由に祝福された私たち
足元注意

食卓にて

2004年10月16日 ポエム
食器の中であたしはいちばんスプーンが好き

だけどスプーンじゃ
あたしがいちばん大好きなスパゲティー・ミートソースは食べられないわ

世界の真理なんて
案外こんなものかもね

不幸の月

2004年10月9日 ポエム
月の湾曲の罪を 誰が証明しえようか

それでも足は 楔に打たれ
それでも掌は 灰を握り
それでも額は 茨に刺され

わたしは ただ ただ
耐えに 耐えて 耐えながら

絶え絶えに

高き天を 見上げるだけで

月の湾曲は わたしを嗤う
旅をする度想うのは

故郷の枯れた畳の香り
上昇気流に乗って部屋の窓を通り越し
私の耳の中にまで侵入してくる
下品な女たちの野蛮な笑い声に
私は自分の身体が地獄の瘴気に侵蝕されていくような感覚を覚えた。

ここは聖域ではなかったのか。

外の世界は地獄の瘴気に充ちている。
しかし私には決められた日に決められた時間だけは
外の世界に出て行かなければならない義務があるのだ。

その義務を終え、私は地獄の瘴気から解放されるはずであった。
聖域に戻り、私は安息の時間を得られるはずであった。

しかし、今、その最後の聖域さえも
憎きかの地獄の瘴気によって冒されようとしている。
私に安息の場所はないというのか…。

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